こんにちは、うしです。
今回は前回のブログの続きで、そもそも優秀な医者とは何か、見分けられるのかということを、医者側の目線で書いていきたいと思います。
自分は内科医なのですが、(自分のことはさておき)、内科医の中で診療の質やレベルが違うかというと、
これ実は、医者によって全然違うと思います、ここだけの話(笑)
そして前提として、特に内科に関していうと
非医療者からしたら優秀な医者かどうかを見分けるのはほとんど困難だと思います。
たとえて言うと、そこにいるエンジニアが優秀かどうかは自分には全然わかりません。それと同じかと思います。
ただし、何をもって優秀か、優秀であるべきかどうかは人によって変わってくるので、その点をこのあと詰めていきたいと思います。
外科医の場合
これは一般にわかりやすいですよね。自分も手術されるなら、腕の良い(≒器用な?)外科医にしてもらいたいと思いますよね。
実際、患者さんでも、外科的治療が必要になったとき、本やインターネットなどを調べて外科医の腕がいい病院への紹介を希望されるケースもありました。
自分は内科医なので細かいことはわかりませんし、何が間違っているというわけではありません。
実際、同じ病院であれば、どの先生が腕がいいかくらいは知ってるし、上手い下手はあります。
おそらくテレビでも話題になるようなスーパードクターは、技術はぴか一なのだと思います。
しかし、実際には、ほとんどの手術に高度な技量は不要と思っています。
というのも、一般的な術後合併症の多くは、本人の耐術能(手術に耐える力)が少なかったり、術後の不可避な感染症によるものだったり、予測不可避(確率的なもの)であったりで、
手術が下手だから患者が不幸な結果になったという例は極めて少ないと思っています。
例外として、胆管-膵臓の複雑な手術や心臓手術の一部は高度な技術が必要ですが、
そもそも、自施設の範疇を少しでも超えていれば、より高度な医療機関へこちらから紹介させてもらっているのが現状です。
少なくても、自分たちの技量を超えた手術をすることはないと考えてください。
あとは、実際その先生に手術をしてもらえると思っても、そんなスーパードクターがいるところは大体大きい施設で、研修医などもたくさんいます。
その先生が最初から最後まで全てやらなければ法律違反ということもなく、実際どの先生が執刀するかは最後までわかりません。
(緊急手術など入ると変わることもあります)。
また患者側として、わかるのはせいぜい傷くらいです。傷を縫うのは形成外科医が一番うまいですし、傷こそ研修医の出番のこともあります。
上手な先生が執刀するメリットと言えば、少し手術時間が短い、くらいなのではないかと思っています。
内科医の場合
こちらはもっと難しいです。というのも、インターネットやテレビでも取り上げられませんし、評価も難しいからです。
「診断の神様、内科医~」なんてドラマもあんまりありませんよね(笑)
ただし、自分は内科医こそ、実力の差が大きいと考えています。
同じ病棟の看護師さんくらいであれば、うすうす「あの先生はやばいよね~」なんてばれることもあるかもしれませんが、
やばいと思うには、その患者さんを見てもいないのにカルテを見ただけで診断などを当てるくらいのスキルがないといけないため、難しいです。
(自分は、院内の先生はじめ、周囲のクリニックも内心は「ここのクリニックの先生優秀だから~」と思っていることはあります。ここだけの話ですが)
また内科医は問診と身体診察から診断にせまるのですが、その分話術も大事になります。
これは口で丸め込むという意味ではありません。
「風邪ですか」と聞かれて、「あなたが風邪だとわかる人はこの世の中には誰もいません」などと言われるより、「あなたが風邪だとは現時点では断点はできかねますが、風邪に準じて様子見でいいと思います」と言われた方がよっぽどいいですよね(笑)
優れた能力をもっていても、コミュニケーション能力が皆無だと台無しですし、コミュニケーション能力自体が内科医の腕の1つとも言えます。
以前のブログのような医者はある意味優秀とも言えるのではないかと考えています。
医者が思う良い病院の見分け方 - 循環器内科うし先生のほのぼのブログ
もう1つ、後医は名医という言葉があります。
これ何かというと先に見た医者より、あとで見た医者の方が優秀で名医に見えるということで、
なぜかというと、前医に比べて、その後の経過と前医が使用した薬の反応(よくならなかった)という前医にはなかった追加情報があるため、後医の方が診断を当てやすく、一見名医に見えるということです。
よく、「あそこの病院いったけど全然治らなくて~」と愚痴をこぼしながら2番目の病院に行く(来る)方がいて、帰りがけに「前の病院は当たらないからもう行かない」と言われることがありますが、これはかなり語弊があると思っています。
あとは、一般的な風邪や胃腸炎などは、自然に治るものがほとんどです。
変な話、めちゃくちゃなカルテを書いて薬を出しても、ほとんどは勝手に治り、あたかもその薬が効いたような錯覚をし、優秀な医者という誤解を招きかねます。
逆に、たまたま珍しいかつ長引く病気の初期にいったクリニックであれば、そのクリニックの医者が1回で的確に診断を当て、早期に治癒させることはほとんど不可能です。
患者側のイメージとしては、「あそこで出してもらった薬は全然治らない」となりかねません。
そのような理由で、非医療関係者が内科医が優秀かどうかを判断することは不可能と考えています。
内科医は優秀であるべきか
少なくても、大学病院やそれに準じた大きな病院の場合、クリニックから紹介状をもって入院精査し、能力が低くよくわかりませんでしたというわけにはいかないため、優秀であるべきです。
ただし、大きな病院は周囲にもたくさんの医師がいるため、その人の独断のみで診療が進むことは少ないです。
少なくても、自分の主治医の腕に震えていなくていいと思います。
一方でクリニックの場合はどうか、それは以前のブログの通り、まあとりあえず正直であれば十分なのではないかと最近思いました。
それこそ、咳止めも風邪には逆効果だとしても、咳止めは絶対処方しませんという医者よりも、咳つらいから咳止め出しますねと寄り添ってくれるほうがいいですよね。
もちろん知識や内科医師のしての腕は大事ですが、
正直で、しっかり心配してくれて、今後どうなったら病院に行ったらいいかを明示してくれるだけでクリニックの役割は十分な気がします。
…これができればそもそも優秀な内科医なのではないか?…とも思いましたが(笑)
強いてアドバイスできるのであれば、クリニックの外来を訪れるのであれば、前回のLINEヘルスケアの記事にも書きましたが、できれば常勤医(非常勤ではない)の方がいいかとは思います。
クリニックの非常勤の役割はあくまで院長を休ませる(お留守番)ことが主で、出勤回数も少なく、もちろん常勤医(≒院長)よりも退職リスクが高いです。
症状があるときはもちろんどちらでもいいと思いますが、定期通院するのであれば常勤医がいいと思います。
結論として、優秀な医者は見分けられないけれど、問題ないと思いますということで、
落としどころがはっきりしなくすみません。
今後ともうしブログをよろしくお願いします。
今日のうちのインコはややおこです。