循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

医者が思う良い病院の見分け方

こんにちは、うしです。

 

今日は自分の思ういい病院の見分け方について書いてみようと思います。

 

その前に、とりあえずGoogle先生に聞いてみました(笑)

だいたい以下が見るポイントのようなことが書いてありました。

 

・あいさつ

・服装

・患者の羞恥心やプライバシーへの配慮

・話し方

・質問に答えてくれるか

・検査データ貸し出しを渋らないか

 

などなど。

 

 

 

 

 

 

うーん、まあどれも、当たり前のことではありますね(笑)

 

自分の病院や、自分の診療がなんて言われてるかは知らないです。

 

早口で滑舌が悪いとは言われてるかもしれません、気をつけているのですが(笑)

 

 

 

 

そんなこんなですが、とりあえず少し目線をかえながら、病院の良し悪しについて書いていきます。

 

 

 

 

 

 

 

まず、病院と言っても、クリニックと病院は違います。

ざっくり言うと、クリニックは外来中心で、病院は入院設備のある大きいところです。

病院は、だいたいクリニックから紹介あったり救急搬送されたりで、あまり選べないため、まずはクリニックを前提に話を進めます。

(ここから先はいいクリニックの選び方と言います)

 

 

 

 

またもう1つ。

世の中の記事や本には、病院の選び方〜とありますが、少なくても業界関係者でなく、行ったことがないのであれば、本当に良いクリニックかどうかは判断つかないと思ってください。

 

後述しますが、待ち時間が長いところというのは裏を返せば人気あるということでもあり、

 

「専門医資格あるところを選びなさい〜」と訴えてるものもよく見ましたが、専門医資格があっても大学病院では窓際の存在で半ばリストラしてクリニックで診療している医者もいましたので、

 

 

 

自分はここが大切かなあと思ってます。

 

 

 

 

①ご近所さんの口コミが良いところ

 

当たり前かもしれませんが、口コミが一番当たると思ってます。

ただし、これはネットの口コミではありません

ネットの口コミがどのように選ばれ記載されているかわかりませんが、圧倒的にコメントが少ないです。書く人は、インパクトがあった人が多いので、あんまり良い診療をしているものより、「〜見逃された」や「〜時間待たされた」の方が選ばれやすいです。

むしろ、待ち時間やスタッフ個々の不満はどこの病院でもあります。その不満の口コミがないということは逆に情報操作されている可能性があります

(自分の周囲でも、業界内では評判悪いところでも、口コミだと良い評価しかないところがあります。良い評価だけというのは逆に信憑性がないです)

 

その分、周囲の人の口コミは、現在通院中の口コミが多く、直接話すことで医療スタッフの人柄などが伝わりやすいです。

経験的にも、周囲の口コミが良いクリニックはいいクリニックが多く、こちらも信頼しやすいです。

 

 

まあでも自分が皮膚科に受診したときはめちゃくちゃネットの口コミ見ましたので、参考にしてもらえれば良いと思います(笑)

 

あと自分含めて医療者はよく周囲から健康相談を受けます(笑)なかなか責任もとれず難しいのですが、受診するべき診療科やおすすめの病院などには詳しいので、どこを受診したらいいかという相談はありかと思います。

 

 

 

 

 

②ほどほど以上は混んでいる(待ち時間がある)ところ

 

先ほどの通り、待ち時間があるということは、仕事の効率が悪いか、患者さんの話をよく聞いて丁寧か、診療などに評判で人気がある、のどれかだと思います。

仕事の効率は俄かには判断つきませんが、いいクリニックの方が待ち時間が長いと思っていいと思います。

自分も過去を振り返ると、とても待たされたあとの診療はよかった思い出しかないですね。

仕事の合間に抜けて、最低限薬だけもらえればいいというわけでなければ流行っているところの方がいいと思います。

 

また、クリニックでは敷居が低いですが、それなりに処方薬が増え基礎疾患が増えたあとは転医は敷居が高いです。通院自体は落ち着けば2-3か月に1回になることが多いので、ここで時間を節約しなくてもいいのではと思います。

 

 

 

 

③診断に正直なところ

 

 自分の過去の話をすると、まだ医学生のときに高熱と強い頭痛(咳などの上気道症状一切なし)が出て、近くの病院(クリニックではなく外来も臨時でやっている小-中規模病院)を受診しました。

その際にやけに待たなかったため②を考えると怪しかったのですが(笑)「風邪ですね」と言われました。医学生とは言いませんでしたが、「咳も鼻水ものどいたもどれもなくて強い頭痛しかないのですが本当に風邪なのですか?」と(今思うと少し嫌味っぽいですが(笑))聞いたところ、少しぎくっという顔して「か、風邪ですね」と言われました。咳も鼻水ものどいたもないのに咳止めと鼻水止めとのどの薬をもらい、二度と行くもんかと思いました。

ずいぶん経ってから仲いい感染症医に相談したところ、夏であったこともあり、ヘルパンギーナなどの無菌性(ウイルス性)髄膜炎だったのではないかとのことでした。

 

逆に風邪でなくても上記で腰椎穿刺(髄膜炎の検査)をするかどうかは意見が分かれるところですし、本当の細菌性髄膜炎に比べたらまだ元気でしたので薬出して様子見で帰宅するのが妥当とは思います。

 

何かいいたいかというと、安易に「風邪」や「胃腸炎」という医者は要注意ということです。

 

外来の5分程度で、まだ発症から1-2日しか経っていない相手にその場で的確な診断を下すことはそもそも不可能です。医者の診断基準で、すごく風邪らしい/胃腸炎らしいことも多々あります。

しかし逆にまだ風邪の徴候がそろっていない/胃腸炎の徴候がそろっていないこともよくあります。それらは、診断はつかないが風邪や胃腸炎などに準じて様子見ることがほとんどです。

(風邪に関しては以前のブログも参照ください)

(胃腸炎は後日ブログ書こうと思っています)

何故風邪に抗菌薬を処方するのか - 循環器内科うし先生のほのぼのブログ

その際に、例えば風邪か肺炎か区別がつかない場合、まずは風邪に準じて様子見を行い、呼吸苦などが出現した際に肺炎の検査を行うなどの方針立てをします。

 

のこと(どういったら再診しなければならないか)を共有し、現状を医者と患者さんでシェアし、今後の方針立てするためにも、正直に、現時点では診断は判断しかねると伝えることが大切だと考えます

 

さきほど書いた通り、初期では診断はつかないことが多いですし、そもそも風邪というのは治ってみて初めて風邪だったと言えるものなので、初診で風邪と断言できるというのは実はありえないです。

(1日前から咳が出ても、それが1か月続けば風邪→慢性咳嗽と病状が変わります)

 

自分は診療しているときにはよく以下のようなことを言います。

 

「現時点では風邪と断言できませんが、現時点では風邪で矛盾なく、風邪に準じて薬で様子みようと思います」

 

少し遠回りでうざく思われるかもしれませんが、少なくてもやたら風邪や胃腸炎を即断し自身がある診療するクリニックは怪しいと思います。

 

 

 

 

 

④診察室にこちらをしっかりみてくるところ

 

よく、カルテばかりで顔を見ない医者はだめと聞きます。まあその通りです(笑)

少し言い訳させてもらうと、自分のいるような中規模以上の病院は、いろいろな医者がカルテを見たり後日診療する可能性があり、カルテは客観的にしっかり残さないといけません(クリニックもカルテは大事なのですが)。

最近は電子カルテでもあるので、どうしても見がちにはなってしまいます、正直なところ。

 

ただし、診察室へ歩いて入ってくる姿は多くの疾患の重症度を判断したりするために非常に重要です。

例えばもふらふらになっていて、体調が悪いと訴えても、その歩くふらふらの姿を見てなければ伝わらないし、そこを見ずに軽症と言い切って帰宅させるのは誤診に他なりません。

 

循環器疾患も、結構歩行をみると雰囲気はわかります。

 

部屋に入るときの挨拶や椅子への誘導も含めて、椅子に座るまでに一度もこちらを見ない医者は少し微妙なのではないかと思っています

 

 

 

 

⑤風邪に抗菌薬を処方しないところ/胃薬を2種類以上処方しないところ

 

これはケースバーケースですが、診療の中身の話です。

医療者からすると、この病院の診療ちょっとまずいな、なんて思うことは実は結構あります。

お互いマナーもあり、患者さんへの信頼関係もあるため決して言うことはありませんが。

 

その中でも、患者さん立場で気が付く可能性があるとすれば、⑤かなと思いました。

 

風邪薬は前回記事にも書きましたし、よく言えば肺炎を心配して処方している患者思いの可能性もありますが、少なくても

明らかに風邪と伝えておいて、風邪薬に抗菌薬を混ぜてくるクリニックは、診療のアップデートは遅い、とは言えると思います。

というのも、風邪に抗菌薬は不要で処方すべきでないというようになったのは比較的最近のトレンドなので、新しい医療に接することの少ない先生の場合はそもそも知らない可能性があります。

日常診療で新しいデータなどはたいしていりませんが、抗菌薬は処方しない方が診療の質は信頼できるかなと思います。

 

あと処方薬の数などについて、例えば他院から手紙をもらい処方依頼されていることも多いため、一概には言えませんが、

もしあなたが「薬を少し減らしたい」と伝えたにもかかわらず減らしてもらえず、一方で薬の紙に2種類以上の胃薬があった場合、少し診療に手抜きをされている可能性があります。

 

どういうことかと言うと、胃薬というのは処方は簡単ですが、減量するにはなかなかきっかけがないものです。

万が一減量して、お腹の不調を訴えられると、クリニックの評判が傷つきかねません(それが胃薬関係なかったとしても)。

しかし、薬の中身については常に適切かを考えるべきです。

少なくても胃薬は2剤以上併用することはほとんどなく、何となく処方増量されがちなため、2種類以上処方されていたら、おかしいと思うべきです

 

(胃薬には逆にこだわりを持っていられる方も多いため、自分の場合強く希望された場合に限り2種類以上出していることがあります)

 

また2つ以上クリニックを掛け持ちし、2方向から胃薬が処方されている場合には、主治医に言って1つ減らしてもらいましょう。

 

 

 

 

 

思いついた、かつ、他の一般的な本やサイトで記載されていない内容は以上かなと思います。

 

あくまで、これは自分の主観であり、あなたの主治医が誤っているというわけではありません。

 

事情は患者個々で違います。

 

参考程度にしてもらえたら幸いです。

 

 

 

 

 

最後に、インコのトーテムポールを睨むインコ。

 

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