こんにちは、うしです。
先日オンライン診療の記事を書きましたが、そのあと(少し情弱でしたが)、LINEヘルスケアというもののニュースがときおり取り上げられていたため、
医者目線で率直に感想と、今後の可能性について書いてみます。
まず問題になった記事の1例を貼っておきます。
診療や診断をするサービスではない… LINEヘルスケアの不適切発言、利用者と医師の“ズレ”も課題か | ABEMA TIMES
LINEヘルスケアとは
つまり以下のようなもののようですね。
・LINEを用いて
・現役の医師にオンラインでの相談が可能で
・内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科から選ぶことができ
・「すぐに相談」、「予約して相談」、「あとから回答をもらう」から相談を選べ
・相談は30分2000円、あとから回答をもらうは1000円/1000字
とのこと。
ほうほう。なんだら悪くはなさそうですね。
ちなみに、自分も(医者側で)やってみたかったのですが、登録フォームがないですね。
今は試験的かついろいろ問題があるようなので募集していないのでしょうか?
エムスリーと提携のようで、医師用のログインサイトがあるのですが、そちらにもアクセスしてみましたが、ぱっと見見当たりませんね。
今回の問題
・「死ぬのが正解」、「言葉できないやつがガキンチョ」などの暴言があり
・発言した医師は停止処分にはなったが
・そもそも専門外の医師が返事したり
・「はい」などしか言わない医師もいたり、問題が多数あります。
どうやらお金取る割にレベル低くないですか?というのがニュースの焦点のようですね。
ちなみに、ニュースには、医師の報酬は1400円/30分らしいですね。
昔家庭教師をやっていましたが、それに比べたらなかなか割はよさそうですね(笑)
時給換算2800円なので、アルバイトに比べたら非常に高収入です。
これについて話すため、少し医師のアルバイト事情についてお話します。
医師のアルバイト事情
アルバイトについては、常勤の他に収入をもらうことですが、通常業務の場合、非常勤とスポットというものがあります。
非常勤は例えば「毎週日曜日は●●病院の外来をする」、「月数回シフト制で当直(夜間のオンコール)をする」ようなもので、
スポットはあくまで「●月✗日外来できる人いますか~」のような単発のものです。単発はお互いの条件や日程など調整難しくあまり栄えていないイメージですね。
これも、大学病院の医局に所属しているかしないかによって大きく変わります。
所属している場合、特に大学病院勤務の場合、イメージとして、医師は医師の給料ではなく大学講師の給料となります。
学校の先生の方には大変失礼ですが、他の市中病院に比べてめちゃくちゃ安いです。大学病院の場合、研究や最先端医療、医学生の世話などもあり忙しいのに給料はとても安いのです。
そのため、(また大学病院は非常に権力ももっていることもあり)、給料の最低限の補填のため、非常に条件のいいバイトをたくさん握っています。また病院も公式です。
その分、休日とかは休みはほとんどないらしいですね。
大学病院でなくても医局に所属していると、周囲の話などからも通常のインターネットで募集しているよりは条件のいいアルバイトをよくご存じのようです。
そのため、大学病院関連のアルバイトは少し条件が良すぎて参考にならないところもあるということをまず書いておきました。
そして不思議なことに非常勤(アルバイト)の方が常勤医師よりも給料が圧倒的にいいです。
病院によっても差はありますが、常勤の方が給料(時給換算)がいいという話はあまり聞いたことがないです。
自分もなぜなのかよくわかりませんが、常勤にもメリット(安定した収入や、研究などができる)があり、また常勤医を休ませるため(休日や夜間など)、割高でもバイト医をポイントポイントで雇うということなのでしょうか。
自分はちなみに大学病院の医局には所属していないので、あまりこういった話は知らないです。
医師のアルバイト代は?
上記の通りなので、非常に差があり、また忙しさなど全然違いますが、だいたい
外来…時給 5000-10000円
(例:午前3時間の外来で3万円、9-17時の外来で5万円など)
当直…一晩4-5万円
(夜17時~翌9時まで、入院患者対象に必要時オンコール対応)
くらいかと思います。
それ以外に、健診や美容系、内視鏡や透析関連などの非常勤募集があり、
特別なスキルをもっていると、その術者招集で高い報酬をもらえることがあります。
あとは特に大学教授などですが、知名度が高いと講演会などの依頼を受けて報酬をもらうことや(最大1回100万円なんてことも)、医学書を執筆している人は印税が入ったりします。
非常勤医師のレベルは?
次回書く予定の記事で、優秀な医師ということを書きたいと思っていますので、よければそちらもご覧になっていただけたら幸いです。
うちの病院にも非常勤医師は来ます。
まあ、言葉は悪いですが、常勤医師よりはレベルが低いです。
もちろん、すごい病院からすごいスキルを持ってくることあるので一概には言えませんが、
ある意味あたり前で、非常勤医師は、組織全体への責任が少なく、その時間のみの勤務で、その組織の風習やルーチン業務を知らないため、質はどうしても落ちがちです。
LINEヘルスケアを医師はどう考えるか
上記を踏まえて、自分なら、普通の医者なら内心こう考えるな、ということを書きます。
悪い奴だな、と責めないでください(笑)
1つめは、オンライン診療とするなら、とても安いな、と思います。
というのも、アルバイト事情は上記書いたとおりで、高く見積もるとざっくり時給1万円くらいのものが多いです。
(これは10時間働いて10万もらえるのではなく、シフトや常勤の関係で自由に入れるわけではないため、勤務できる時間はイメージよりかなり少なくなります)。
ただし、LINEヘルスケアももし30分間完全にその一人で拘束されるのであれば、とても安く、このようなアルバイト形態の中では頭の中の優先度は圧倒的に最下位になります。
(特に予約制もありましたが、空いた時間ではなく予約となると、他のことが予定させられないため、医者側としては非常にやりにくくなります)
2つめは、責任あることは言えない、ということです。
これはある意味想像しやすいですが、実際に見た目の状態や診察もしていないのに安全かどうかなどを約束することはできません。
たぶん大丈夫だろうなあと思っても、「心配であれば医療機関への受診をお勧めします」と言わざるをえません。
イメージとしては、ヤフー知恵袋くらいの立ち位置になるのではないかと思います。
(ヤフー知恵袋の関係者の方がいたらすみません)。
逆に、疾患別とありましたが、皮膚科であれば、写真を添付されすれば、かなり疾患の様子は見れ、かつ命にかかわる病状のことは少ない科のため、有効に活用できるのではないかと思います。
残念ながら市販薬の中に皮膚科医が処方するような強力なステロイド軟こうやはなく、その責任問題もあるためまだ現実的に難しいですが、皮膚科領域は(先述の訪問診療に加えて)オンライン診療に広がっていきやすいといえるかもしれません。
3つめは、空いた時間にやるのは悪くないかな、という感じです。
医者の中でもポイ活は地味に流行っています。
それこそ、エムスリーなどの医者登録関連サイトで、アンケートなどに答えると、いいものだと3000-5000円程度のアマゾンギフト券がもらえたりします。
人によって、年間20-30万、医者のポイ活で稼ぐ人もいるらしいです。
(これ世の中のポイ活よりはずっと楽だと思いますが、1-2時間永遠とアンケート答えなければならないため、できるのであれば、1-2時間通常の診療で報酬もらった方が高いです(笑))
その1つとして、LINEヘルスケアの「あとから回答をもらう」を空いた時間に答えるというのは、(医者側として)とてもありだと思います
LINEヘルスケアを医療者と相談者がどう使うべきか
おそらくLINE&エムスリーは、オンライン診療の足掛けにしたいのだと思います。
今後発展してくれば、それはそれでよいことだと思います。
現時点制度で、医療者と相談者お互いが嫌な思いをしないためにはどうしたらいいか。
あくまで相談の範疇で、かつ返答の質を維持し、かつ、膨大な費用をかけず、医者が納得できる報酬で、と考えると
「あとから回答をもらう」制度をまず発展され、医者側も相談者からの評価制にして、評価に応じて相談料を支払うシステムにしていくのが良いのではと考えました。
そうであれば、医者側も空いた時間にある意味気軽にでき、すぐに報酬に現れなくても評価されそれが今後の報酬につながると返答の質も必然的に高まり、相談者も評価をみて信頼できるかなどを吟味できるからです。
(そもそも医者になる人はやりがいを求めている人が多いため、しっかり評価されるだけでも全然違うと思います)
逆にその他のオンライン相談は、現行の状態であれば少し慎重に考えた方がいいと思いました。
お気を悪くされた方がいらしたら申し訳ありません。
医者の金銭話と合わせて、LINEヘルスケアの今後について率直に書いてみました。
インコは一方で幽体離脱をしています。