循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

ワーファリンを開始したら一生納豆は食べられないか?

こんにちは、うしです。

 

 

 

 

今回は、前回の記事に引き続きで、ワーファリンを開始したら納豆は一生食べられないかというテーマで書いていきます。

引き続き血液をサラサラにする薬=抗血栓薬(血栓をできにくくする薬)でいきます。

もしよければ1つ前のブログを読んでいただけたらより内容理解が深まると思います。

(抗血栓薬を処方する理由や抗血栓薬全般の止め時については前回ブログご参照ください)

 

 

 

 

 

 

ワーファリンとは

 

ワーファリンとは古くからある抗血栓薬(その中でも抗凝固薬に分類)の1つです。

血液の凝固にはビタミンKという物質が必要なのですが、ワーファリンはこのビタミンKを阻害することによって血液凝固を阻害(かたまりにくくする)の効果が出ます。

ワーファリンには以下のような特徴があります。

・非常に安価で1錠10円程度です(同系統薬剤だとだいたい1錠300円前後)

・古くからあり科学的データが多い

使い慣れている医師が多い(自分みたいに若いとむしろ慣れない)

採血(PT-INR)で調整が必要(⇔効いているか採血で確認できる)

・最低でも2-3か月に1回は採血必要

・処方開始から効果出るまで1週間ほど時間かかる

・中止しても数日効果残る

拮抗薬(ビタミンK)がある

 

 

 

 

 

 

ワーファリンと納豆の関係

 

上記の通り、ワーファリンはビタミンKを阻害することで効果を発揮するため、ビタミンK(の多い食事)を多く摂ると効果がなくなってしまいます

このビタミンKが特に多い食べ物が納豆になります。

他にもほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、トマト、海藻などにも多いようです。

 

とりあえず、ワーファリンを内服中の患者さんには納豆は食べないように指導されます。

 

 

 

 

 

 

 

ワーファリンを開始したら一生納豆は食べられないか?

 

ここで本題ですが、もう納豆は一生お預けでしょうか?

 

ワーファリンに限らず、抗血栓薬を開始するというのは、それだけの理由があるため、そうそう簡単には中止できません。

前回のブログの通り、原因やリスクが取り除かれない限り継続となるのが普通です。

 

ただしそれがワーファリンなのか?これは別問題です。

 

というのも、今はワーファリンではなくNOACという新規抗凝固薬を使用するのが一般的です。NOACは直接凝固系に作用するため納豆OKです。

 

逆にNOACではなく今ワーファリンを処方されている、もしくは新規にワーファリンを処方された場合、以下のような理由なのではないかと思われます。

 

①元々ワーファリンを飲んでいる(わざわざNOACにかえなくても良い)

②NOACを使い慣れない(ワーファリンの方が慣れている)

③NOACの保険適応が通っていない(ワーファリンは通っている)

④末期腎障害の患者(ワーファリンもかなり慎重投与)

 

①-②に関しては自分はなんとも言えませんが、薬価と主治医がよければNOACに変更していいと思います。

③に関してです。ワーファリンは概ね何に使ってもいいのですが、NOACの場合は添付文書にこう書いてあります。

「静脈血栓症の予防、もしくは非弁膜症性心房細動の塞栓予防」

この弁膜症性というのは、機械弁僧帽弁狭窄症のことを指します。

 

つまり、現在の添付文書では、機械弁や僧帽弁狭窄症での心房細動の塞栓予防や、その他の塞栓予防(左室瘤・左室内血栓など)にはワーファリンはOKだがNOACはバツ、ということになります。

 

自分もこのときだけはワーファリンを使用しています。

 

この場合はかなり長期(場合によっては生涯)ワーファリンが必要で、納豆も食べられないかと思われます。

 

しかし、現在はゆっくりですが治験やデータが集まり、全ての血栓予防にワーファリンではなくNOACが使われつつあります。

 

もう少し待てば、ものすごく腎臓が悪いわけでなければワーファリンは特別な理由がなければ使用されず、基本はNOACとなるのではないかと考えています。

(つまり納豆解禁になります)

 

 

 

 

 

以前患者さんに聞かれたこともあり、納豆について書いてみました。

 

少しでも参考になれば幸いです。

 

 

 

今日も真似してみました笑

 

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