循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

この冬風邪にかかったら大変な理由~

こんにちは、うしです。

 

そろそろコロナの話題から一旦変えようと思ってたのですが、ちょうど前回の続きがあったので、「この冬風邪にかかったら大変な理由~」という記事を。

 

 

 

 

ちなみに

 

以前の「風邪に抗菌薬は何故処方するのか」の記事で書いたように、風邪とは3つの上気道症状を有するウイルス性の急性感染なのですが、

 

この冬に咳、鼻水、のどいたと、微熱-発熱があり、風邪かなあと思ったら、どうしますか?

 

    病院を受診しますか?

 

    仕事はどうしますか?

 

    また、あなたが会社の上司であれば、部下になんて指示しますか?

 

 

 

 

これ、とてもやばいんでないかと思っています!!

 

自分としても、どうするんだろう、と思っています。

 

 

 

前回の記事の、コロナ患者がきたら経営が大変ということで、外来診療の話につながるのですが、

 

現状の制度とさほど変わりなければ(コロナの感染性、検査の方式、集団免疫、重症度など)、

 

①歩いて外来受診の場合

風邪、インフル、コロナ、臨床的には絶対区別つきません。

インフルエンザは咽頭後壁のいくら濾胞所見、コロナで特異的というとおそらく味覚嗅覚障害になるかと思いますが、何ならオーバーラップして1週間前にインフル、2日前にコロナ、みたいなオーバーラップさんすら来るんでないかと思います。

つまり、軽症風邪だろうが全てコロナに準じてフル装備で診療することになるのではないかと思います。そしたら医療資源は一瞬でなくなると思います。

そして、いまであれば「風邪は家で寝ていてください」も多少通じますが、インフルで40度の発熱でぐったりしているときも受診しないでくださいとは言えません。

また今の場合は新型コロナウイルスを疑う場合は保健所に電話してくださいということになっていますが、軽症風邪含めて全例保健所に電話かけては回線終わります(笑)

検査としては、コロナは唾液でもできるという話が出ていますが、インフルはできず、いずれも鼻咽頭のぬぐい液でとれるため、検査をするのであればまとめてすることになると思います(ただし従来のインフル検査とは次元の違うようなフル装備の状態で)。

 

②入院の場合

今度は高齢者の発熱~細菌性肺炎 vs インフル vs コロナの区別がつきません。

あまり認識されていませんが、肺炎や心筋梗塞は季節性あり、いずれも冬が多いです。またインフルエンザも、免疫のある若年者には「風邪と同じだから家で休んでください」と言いますが、年間死者でいうとコロナに負けないくらい重症になる例も散在するため、インフルエンザが主病名の入院は意外と多いです。こちらもまとめると、インフルや肺炎くらい流行性・集団性があっても、全員コロナに準じたフル装備で対応し、全員個室対応が必要、になるのではないかと思います。

肺炎があることはCTをとればすぐわかりますが、細菌(患者数多い)なのかインフルなのかコロナなのかはわかりません。

またインフルエンザの抗原検査もコロナのPCR検査と同じで感度が低く、間違って陰性になる可能性が高いです。

またコロナであれば中等症以下であれば4人部屋でいいと思いますが、インフルとはわけなければならず、特にコロナ(もしくはインフル)の検査待ちや1回目陰性(つまり疑似例)は全て個室に分けないといけないということです。

(ちなみにインフルエンザであれば、病院によって異なりますが、カーテン隔離で4人部屋にいれることもしばしばあります)

 

③仕事などについて

おそらく上司としては、病院いってコロナかインフルでないか調べてもらってこい、というと思います(つまりただの風邪なら働けということ?)。

病院としては、コロナかインフルかは検査の感度(制度)からも判断つかず、(より公衆衛生的に問題になる)コロナに準じて扱いましょう、となるのではないかと思います。

これがその通り成り立ってしまったら、風邪を引いても無理して働いていた人がみんな14日間(コロナの隔離期間)休まなければならず(本来は体調悪ければあたりまえですが)、ただでさえ体調悪い患者さんは病院と職場と板挟みになることが予想されます。

あとインフルエンザは診断書が必要(検査でばしっとわかる)や、タミフルを飲まないといけないといった誤った認識が多くされていることも問題かと思います。

 

 

 

ではどうしたらいいか。

自分なりの意見としては

 

①歩いて外来受診の場合

③仕事などについて

まずは

  風邪は自然に治るもので受診はいらない

  インフルエンザも若年者は自然に治るから受診処方は不要

  風邪、インフル、コロナいずれも特効薬はなく、急速が一番

ということを社会的に認識させることが重要かと思います。その知識の上で、ぐったりしている軽症とは言えない人を受診対象にし、フル装備で医療資源や人材など十分でない環境でも不足しないように診療していくしかないかと思います。

かつ、それでも漏れてくる人+どの程度隔離するか、周囲に広げないために、かつまとめて検査診療ができるように、夜間急病センターや今の発熱者外来のようなものの規模を大きく、かつ当番制にするしかないのかと思います。

どうしても受診や検査が必要であれば今日の病院はここ、のように。

 

②入院の場合

とりあえず全て紛らわしいため、まずは全て感染力あり新たな肺炎になりやすいコロナに準じて全て対応し、入院時にほぼ全例インフルとコロナの検査を同時にして、検査がわかるまでは個室入院になるのではないかと思います。

また、最近の国内のコロナの流行と、冬の増悪の可能性を考えると、診断がついた(検査で陽性になった)場合は、インフル部屋、コロナ部屋、個室、のように分けられるのではないかと思います。定期入院の縮小はやむをえません。また感染以外の緊急入院にも大きな支障が出ると思いますが、致し方ないと思います。

 

 

 

 

あまりうまいことは書けず、イメージもしにくくてすみません(笑)

 

あくまで一例、予想ですが。

 

 

とはいっても、これだけソーシャルディスタンスや手指消毒を徹底すると、風邪やインフルは例年よりは多少減るはずです。

 

以前の記事に書いた通り、風邪、インフル、コロナ全てまとめた(もはやコロナが風邪に統一されたような)概念になってしまうかもしれません。

 

現状では、皆さん(僕たちも)にできることは、風邪含めてかからないように気を付けることしかできないので、健康管理については今以上に引き締めていく必要があると思います。

 

今日のインコです、自分の足かいてます、不潔ですね(笑)

 

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