循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

コロナ流行で病院大赤字!なぜ?

こんにちは、うしです。

 

今日は、テレビの報道でもありましたが、なぜ医療スタッフがコロナで疲弊してるのに、大赤字なのか、書ける範囲で具体的にお話しようと思います。

 

そろそろコロナ以外の話題もしたいのですが、気になる話題が多いもので…(笑)

 

 

 

おそらく今回の新型コロナの影響であらゆる医療機関が経営赤字になってると思います。

クリニックは前回の記事でも少し触れましたが、今までは風邪や胃腸炎(また後日記事書きます)での些細な受診が多く占めていたと思いますが、特に風邪関係の受診遠慮(+診療困難)で受診者数が単純に減ってるからと思います。

療養病院は自分よく知りませんが、単純に後述する急性期病院の回転(転院)が悪くなると空床など発生しやすくなります。あとは、療養病院がコロナのバックベッドになったり、外来機能(上記のクリニックと同じ)が縮小赤字になったり、急性期と連携してたりで、病院の基本的なスタイルによって赤字になりやすくなる原因は様々なのではないかと思います。

 

 

 

それでは急性期の病院、特に救急車を受けるような(コロナ診療の窓口になりやすい)、2次救急病院や特定機能病院にうつりたいと思います。

 

ちなみに自分のいるところもだいたいそういう感じの病院です。

ここではあまり言えませんが(というか詳しくは知りませんが)、もともとすごい赤字なのに、今回のコロナ騒動ですんごく赤字らしいです!笑

 

 

なぜなのか

 

①外来の効率がめちゃくちゃ悪い(救急外来の受け入れの問題)

自分の病院のこともあえてぼかして一般的な言い方にしますが、どこの病院も、まずは救急車の受け入れは、特に発熱や呼吸苦などはかなり慎重にならざるを得ない状況になっています。北海道は一時コロナ流行ってましたが最近は(7月のうちは)全国的にはまだ落ち着いてる方だと思いますが、発熱呼吸困難主訴の救急陽性はかなり救急車受け入れにおいてたらい回しされています!東京など今どうなっちゃってるんだろと逆に聞きたいくらいです!

というのも、軽症(以前のブログでいうただの風邪)ですら(コロナを否定できないという理由で)フル防備で行い、検査で使用した機材や部屋を消毒し、一定時間換気をしないといけません。防護服の値段の他にそのゴミを捨てるハザードというゴミ箱は捨てるのに1個5000円程度かかるはずです。お金のための検査ではありませんが、収益につながる検査はできず人手と時間がとられてしまいます。

軽症でこの状況なので、重症の発熱・感染症の場合、全然コロナでなくても(少なくても診断名がわかるまでは)コロナに準じて対応が必要で、陰圧隔離できる部屋の問題からも、1回に1-2人対応すれば感染症特化した病院でなければ外来はパンクする状況です。

クリニック同様、通常の患者自体も減っていることも原因にあるかと思います。

 

②定期入院の激減

これも大きいと思います。

例えば自分は循環器内科ですが、1-2泊のカテーテル治療など、(僕たちが件数を増やしても一切収益に関係なく、少なくても自分の病院はあくまで医師として適応を考えて治療をしていますが)、1件で大きな収入になります。ただし、これらの検査治療は必要なものになりますが、切迫していなければ緊急性はないものが多いです。

循環器内科やカテーテルの学会からの勧告でも緊急性がなければコロナが落ち着くまでカテーテルやペースメーカーは控えなさいと言っています。

詳細を貼っておきます。

 

http://www.cvit.jp/files/news/2020/0413.pdf

 

これは、医療資材の問題の他に、無症状者の思いがけないコロナ感染→院内感染の懸念や、極力病院と市民の接触を避ける目的など様々だと思います。とりあえず非常事態なので、という解釈でいいようです。

最近は少しずつオープンになってきていますが、特に緊急性がないものに関しては多くの患者さんが「コロナが落ち着いてから」と現におっしゃっています。全然よいですし、その通りなのですが、必要な検査治療が滞ってるのは事実であり、収益という観点からも、以前に比べて入院での検査治療は半分くらいになってるような印象です。

ちなみに、急性期というのはDPCという診療報酬(費用)算定になっていることが多く、また後日ブログ書こうと思いますが、要は入院中に何の検査をしても1疾病1入院定額ですよ、みたいなものです。これでいうと(僕の)2泊3日のカテーテル治療は、(僕に一切収益はありませんが)、1回の治療費(手術扱い)が60-70万円、入院費が額面70-80万円です。材料施設維持費など多々あると思いますが、定期入院件数が少なくなると病院は赤字になるのがほとんどと思われます。

 

③臨時入院減

上の①-②に関連して、今までのような臨時入院も減ってる印象にあります。ただしこれは少し病院差はあるかもしれません。少なくても、あまりみんなが出歩かなくなって転倒が減ったのか、手術を要するような骨折入院は減ったと思います。

(いいことなのかもしれませんが笑)

 

④病棟制限

これは今の東京などがどうしてるかわかりませんが、少なくてもで一般的なことでいうと、病床確保(病状数upが行政から依頼された)指示があった場合は、現在の入院診療は保留にして、まず病棟大編成をしないといけません。ほとんどが感染症病院でないため病棟の作りやスタッフはコロナに全く特化してないため、システム作りや訓練はもちろん、とりあえずこれまでの診療の特に②を制限して体制を作ることになります。

具体的な病院名は公開されてませんし日々移り変わってますが、ざっくり、陽性患者、重症患者、擬似症例(≒ただの発熱患者)、リハビリ患者、ホテル宿泊(軽症患者)などが行政から割り当てられるようです。

どれに当たったら診療が大変かとか赤字になるかなどは考えてませんし、どれも大変だと思いますが、内容によっては(通常の収益となりうる)日常診療の大幅な縮小が必要になります。

 

⑤院内発生したら対応

ときどきクラスターになってる病院があったり、そうでなくてもスタッフ1人が感染はよく報じられています。

規模によりますが、その際は接触者の待機や院内対応、外来入院縮小となるため間違いなく収益は減りますし、スタッフの負担(離職リスク)もあがります。

また病院名は、夜の街と違って、容赦なく公開されるため、売上という意味では特に②やそれにつながる定期外来受診の大幅な減少が予想されます。

 

 

 

 

コロナで病院の経営困難になる原因がだいたいが上記かなと思います。

 

2類感染症の診療が、④のように疑いやリハビリ含め、どのような診療報酬になってるかわからないためどのくらいのキャッシュフローになってるかわからないてますが、少なくても高い報酬がもらえないことは確かなので、ほぼ全ての病院が多少の経営困難になっている状態です。

 

 

 

あまり皆さんの生活に役立てる情報ではないかもしれませんが、病院とコロナの経営問題が少し垣間見れてもらえたらよいかなと思います。

 

うちのオカメインコが張り付いていたので添えておきます。セミみたいですね。

 

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