循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

新型コロナの薬は今後できるのか

皆さんこんにちは。

 

ニュースでも新型コロナウイルスの国内感染者数が6月下旬くらいから確実に増加傾向であり、連日報道されていますね。

 

まず、税金でGO TOキャンペーンやりながら、外出自粛を要請するあたり、矛盾してるというか、どう考えても8月に実施するのは先走りすぎたと思ってますが、それはさておき。

(以外のように冬場をどうしても避けたいという思惑があったのかもしれませんが、おそらく経済のことを考慮してでしょう)

 

せっかく記事を書く場所ができたので、前々から思ってた新型コロナウイルスの数年後の立ち位置について自分なりに思ってることを書きたいと思います。

 

*感染症は専門でなくもちろん個人の予想ということと、具体的な数字などは苦手なので、ラフな感じで書いていきます。

 

新型コロナウイルスというのはざっくり言うとコロナウイルスの中で新型で見つかったということですが…(笑)

 

要は風邪のウイルスの1つです。

 

だからブラジルの傍大統領のように「ただの風邪」というのは(ただの風邪ではありませんが(笑))、今後弱毒化や多少の(集団)免疫なども考慮すると、あながち間違ってはいないのかもしれません。

 

(詳細は以下日本ウイルス学会で、ウイルスに関しては詳しく載っています)

http://jsv.umin.jp/news/news200210.html

 

一方で風邪とは何かというと、一行でまとめると、

 

ウイルス感染による上気道症状(鼻汁、咳嗽、咽頭痛)を3徴とする症候群と言えると思います。

 

ウイルスとは、細菌とは違い、ものすごく小さく細胞の中に規制するようなタイプの生命体で、一定の臓器に感染しにくいのが特徴です。

(なので風邪の診療の際には上記3徴が多少でもあることを重要視します。例外もたくさんあれば、例えば咽頭痛しか発生しない風邪も多数経験します)。

 

一方で新型コロナウイルスはというと、上記の上気道症状に加えて、肺炎(下気道症状)が最大の特徴で重症例のポイントになっています。なので風邪の範疇はこえているものであり、もし無症状-上気道症状で済んだのであれば「風邪の範疇で済んだ」と言えるのかもしれません。

 

上気道と下気道は、声帯より上か下かでわかれます。wikipediaに良い画があったため拝借します。

 

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ここまでは報道でもあるようなとても一般的なことを書いてみましたが、何が言えるかというと、普通の風邪ウイルスも、インフルエンザも新型コロナウイルスも、上気道に住処を作りやすいウイルスという点では同じで、感染時の炎症の強さ(これは宿主の免疫の強さや体力、個人差・年齢も大きいと思います)や細かい住処(新型コロナウイルスは下気道にも住処を作りやすい)が違うだけということです。

 

風邪診療についてはそのうちまた記事を書きたいと思いますが、

 

例えばインフルエンザを以下のように書き、新型コロナウイルスを暫定的に以下のように書いてみます。

 

【インフルエンザ】

●症状…上気道症状、発熱、全身倦怠感

●治療薬(商品名)…タミフル、リレンザ、リナビル、ラピアクタ、ゾフルーザ

●ワクチン…4-5か月で無力化、2回投与でブースト?

●重症例…多臓器不全、ARDS(呼吸促拍症候群)

●国内死亡者数…年間3000人程度

●流行…冬

 

 

【新型コロナウイルス】

●症状…上気道症状、下気道症状(≒肺炎症状…息切れなど)、発熱、全身倦怠感、味覚・嗅覚障害

●治療薬…アビガン?、レムデシビル、オルベスコ?、デキサメタゾン

●ワクチン…開発中(目途は来年以降? 抗体が1-2か月で消失

●重症例…多臓器不全、ARDS(呼吸促拍症候群)、全身血栓症

●国内死亡者数…現在1000人程度(2020年03-07月の4か月程度+最大限封じ込めして)

●流行…通年?

 

こちらも上から順に見ていくうえで、インフルエンザの特徴として、まず(意外と)死亡者数が多いということです。

基礎疾患ない人で重症化することは珍しいですが(稀にいますが)、超高齢や免疫のキャパシティが少ない方は致命的になることがあります。少なくても、特異的な治療をするわけではなくても、入院になることは多いです。

そしてインフルエンザウイルスが肺炎を起こすことは多くありませんが、インフルエンザ後肺炎というものがあり、インフルエンザ菌という(インフルエンザ後に肺に定着し肺炎発症をしやすい菌もいるように)、インフルエンザ関連の肺炎はしばしば見られます(実臨床では肺炎の影がウイルスによるものか細菌なのか、感染ではなく免疫の異常の状態なのかはなかなか判断しかねて正確な統計は出せないと思いますが)。

 

次に、コロナ関連で注目されがちな治療薬ですが、インフルエンザの治療薬は上記いくつかあり、それぞれ内服や吸入か点滴か、あと実際にエビデンス(使って効果があるか科学的な根拠)が多少違いますが、ざっくり言うと以下程度です。

 

「発症1-2日以内に使用すると0.5-1日解熱するのが早くなる」

 

つまりどういうことかというと、インフルエンザはほっておいても治り、薬はあくまでその軽い補助程度にしかなっていないということです。

死亡率がどの程度下げるかは自分は知りませんが、重症なインフルエンザ感染症において、上記薬剤が著効した経験や感触はありません。というか全然効かないです。薬があろうがなかろうが治る時は自然に治る、という印象です。

一般的にウイルスでなく細菌による、普通の肺炎(市中肺炎)もそうですが、感染症においては薬ではなく宿主の免疫が非常に重要で、20-30代の人は従来も肺炎になるのは稀ですが、高齢者は誤嚥しただけでも容易に肺炎になりえます(これは嚥下機能の影響も大きいですが)。

つまり、新型コロナウイルスの薬剤が、例えばアビガンも含め承認認可や、新規開発されたとしても、宿主の免疫の素因が大きく、死亡率など統計的な有意差は下げることができても、いわゆる「特効薬」にはなりえないということです。

なりえるのはワクチンだけです。

(ただし、治療薬があるというは医療者も患者さんにも精神的には大きいです、これ使えば治るのでは!と希望を与えてくれます)

 

ちなみに最近デキサメタゾンが新型コロナウイルスに認可されましたが、こちらはただのステロイドで、免疫(炎症)をおさえるのに効果が認められたと思われます。

いかなる肺炎・感染症でも肺の炎症が(感染の領域をこえて)ストーム状態(嵐のような感じ)になるとARDS(重症呼吸促拍症候群)と呼ばれます。重症の肺炎≒ARDSといっても差し支えないとは思います。これについては、インフルエンザや一般的な肺炎については(特定の菌を除き)ステロイドは有効とされていません(むしろ感染に戦う免疫を抑えてしまうため)。

ただし臨床的には重症例ではこのままでは死んでしまうという状態では使用することがあり、感覚的には少し効いたような気がします。論文でも、ARDSに対してステロイドの効果の検証は多々されています。

 

何がいいたいかというと、インフルエンザでも新型コロナウイルスでも、重症例ではARDSという状態になりえて、これについてはステロイド(デキサメタゾンなど)は最後の砦として治療の選択肢ではなるが特効薬にはなりえないということです。

 

つまり、一般的な考えとして、「新型コロナウイルスの特効薬ができた!!」ということは今後なりえないのではと考えています。

 

残った内容について

 

国内の流行を見ても、暑さで弱体化するインフルエンザに比べて新型コロナウイルスは明らかに通年性であり、暑さに強い印象です。冬場はさらに猛威をふるうかもしれません。

わかっている情報では、新型コロナウイルスのワクチンは開発は進んでいますが、HIVなどのワクチンと同様に不成功に終わるかもしれません。少なくても他国の研究結果で、1-2か月で抗体が消失とありましたが、インフルエンザですら4-5か月しか持たず、型が合う合わないあるため、ワクチンができても数か月は持たず、(インフルエンザと同様に)発症予防というよりも軽症化にしか寄与できないと思っています)。

新型コロナウイルスの特徴に後遺症が挙げられます。報道からは伝わりにくいですが、肺炎のあとの線維化したところがどうなるか(肺線維症になるという指摘も)は気にしています。これに関して、ワクチンで軽症化できても、肺の後遺症を予防できるかというと、なんとも言えないと思っています(多少は後遺症予防もできるとは思います)。

ただし感染力はインフルよりも強い印象です(いろいろ文献など出ていますが臨床的にはインフルエンザより強いですね)。また一方でインフルエンザも院内や集団発生などはしばしばこれまでも生じています)。

 

 

なんだかまとまりがなくなってしまってますが…(笑)

 

まとめると、新型コロナウイルスはインフルエンザと比べて

 

接触飛沫感染中心に同じように感染するが、やや感染力が強そうで

 

・インフルと同様に免疫弱者(と稀には若年者にも)には致命的になりえて

 

・治療薬は、大したものはできず(自身の免疫が全て)

 

・ワクチンは軽症化には多少は寄与できても数か月以内に効果消失するのではないか

 

と思っています。

 

そしていずれは広い意味で風邪の一部になると思っています。

これは軽症になるというのではないです。現に今もインフルエンザをひどく心配されて来院する患者さんは多いですが、若年者にとってはインフルの方がぐったりはしやすいですが、病状としては風邪と同じで、そう外来でも説明しています。タミフルなどの薬剤も基本的には希望者にしか処方していません(処方するメリットよりも薬の副作用が心配だからです)。

 

新型コロナウイルスは、まだ2類感染症に入ったばかりで、抗原検査の精度やPCR検査の設備などもかなり厳重にやっています。スペイン風邪みたいに姿を消すかもしれません。

 

でも2-3年後は、

 

「風邪ですね。起因のウイルスは、風邪ウイルスかもインフルエンザのウイルスかも、(今でいう新型)コロナウイルスかもしれません。あなたはお若いので自然に治ると思いますし治療はとにかく休むことで特効薬はありません。ただし肺炎になることもあるので呼吸苦があればすぐに再診してください。昔の風邪に比べて一部のウイルス(コロナウイルス)は特に高齢者は肺炎などを起こしやすいため、仕事は休んであまり人と接しないようにしてください」

 

と、ざっくり風邪の仲間入りをしているのではないか、日常の風邪診療・風邪の概念が大きく変わるのではないかと思っています。

 

 

また後日、冬の診療の懸念についてこの続きのようなことを書いていきたいと思います。

 

 

うちのインコの写真(お気に入り)を貼って終わりたいと思います。

 

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