こんにちは、うしです。
今回はスマートニュースのトップで救急指定病院と病院の種類の話があったため、主に病院の種類とかかりつけ医について書いてみようと思います。
参考までに元記事は以下。
「一次救急・二次救急・三次救急は何がちがう?」病院の種類と時間外受診料について説明します。 | LIMO | くらしとお金の経済メディア
救急指定病院とは
難しい言葉を抜きにして書きます。
一次救急病院とは、入院を前提にしない救急病院で、歩いてきて歩いて帰るイメージですね。日中はクリニック、夜間は夜間急病センターなどがこれにあたるかなと思います。
二次救急病院とは、主に救急車で運ばれるけどそこまで重症ではない、ような立ち位置ですね。〇〇病院と書いてあるところが主に当たると思います。
三次救急病院はドラマでやるような救急を行うところで、ショック状態や心肺停止などの最重症を扱う救急病院ですね。
ざっくり
一次救急≒クリニック
二次救急≒市中病院
三次救急≒大学病院
という理解でもいいのではないかと思います。
病院の役割
救急に限らず、大病院とクリニックの役割は大きく異なります。
市中病院の場合は主にクリニックなどの外来で対応できない重症、もしくは入院加療患者を紹介状(地域連携室という紹介システムを経由して)を用いて応需したり、専門的な精査加療をする役割があります。
例えば循環器内科でいうと、狭心症といって心臓を栄養する血管が細くなり胸痛が出ている方をカテーテルやCTで検査したり、カテーテル治療を行ったり、治療後無事経過しているかなどを外来で診たりしています。
あとは弁膜症といって、心臓の逆流防止弁の機能障害が疑われる場合、入院して手術などの侵襲的な治療が必要な状態かなどを精査し、まだ手術が必要ないと判断しても例えば半年-1年に1回など外来で定期的に観察など行ったりしています。
少し言葉に重複ありますが、大学病院の場合は通常の市中病院ではできないようなさらに複雑で専門的(学問的)なことを行う機関です。
上記の例だと、心臓の逆流防止弁が現時点で手術が必要な状態と病院で精査しわかったが、最新のカテーテル治療をするために市中病院から大学病院へ紹介する、などが一例に当たります。
実際は市中病院でも一般的な糖尿病を診たり、大学病院でも通常の市中病院でも行うようなカテーテル検査・治療を行ったり、得意不得意も合わせて重複しているところはあります。
クリニックの役割
一方でクリニックの役割というと、基本的には地域に根差して個々の患者さんに寄り添った診療をするに尽きると思います。
今はプライマリケアなどという言葉も使いますが、例えば高血圧、糖尿病、脂質異常症などのコモンな病気を扱ったり、市中病院と連携をとって必要なときに適切な専門機関に紹介したり、また専門機関からの指示を受けて診療を行ったりします。
健診併設などもクリニックの重要な役割かと思っています。
すごく悪く言うと、薬を出してもらうところ、と感じてしまうかもしれませんが、通常は薬を出すだけで済むくらい安定している、と考えたらよいのではないでしょうか。
専門的な知識・加療はしない代わりに、
「この人の血圧やコレステロールのコントロールはいいかな?そういえば少し胆のうにポリープあったからそろそろ腹部エコーをしておこうかな。そういえば健診を受けてないから次回受診時に胃カメラも勧めようかな。それよりもタバコを吸っているから辞める意思はあるかな。そういえばこの人ってどんな家族とどんな暮らしをしているのだろう。健康以外に生活背景は大丈夫かな」
ということを考えながら診療します。
(自分が一時外来をやっていたときはそうでした。変な話、循環器だけ診る今よりもよっぽど頭使って大変です!)
大病院かかりつけのデメリット
今はクリニックのメリットを中心に書きました。
最後に書く理由で、自分のような病院通院の方はクリニックも併診してもらうように患者さんに依頼します。
しかし実際は、大病院の方が専門的加療もできて安心であり、病院通院が始まった方の多くはクリニック通院併用を怪訝されます。
その場合、以下のようなデメリットがあります。
①その科の診療しか受けられない
自分の場合、循環器内科以外の診療は(以前は多少はやっておりましたが)、現在は基本不可としております。
というのも専門外来なのでそれ以外の診療は専門外に他ならないのですが、理由はそれだけではありません。だいたい病院以上の規模の場合、外来も広義のグループ制と言えます。外来主治医が変わることは多くはありませんが、しばしばあります。その際に専門科以外の内容は引き継げなくなってしまいます。また専門科以外の内容で臨時受診をしたくても基本的にできなくなってしまいます(クリニックならできますが)。同様に専門関わらず、循環器内科単科に通院している場合で例えば腹痛になったときに相談する場所がなくなってしまいます(循環器ではありませんと電話で言われたらそれまでです)。
②予約の枠がなくなってしまう
専門内容でも安定した場合にはクリニックへお戻し(逆紹介と呼んでいます)や併診(専門外来は6-12か月ごとなど)を依頼していますが、そうせず安定した患者さんを永遠と見続けると、診療する側は楽ですが、専門外来の予約枠がなくなってしまいます。
その患者にとっては良く見えるかもしれませんが、枠がなくなるということは自分がその科の内容で調子悪くなっても「枠がないので予約できません」となりかねません。
専門外来はクリニックや地域からの専門加療をする役割があるため、必要時には迅速に対応できるよう、安定した方はクリニックへ逆紹介を依頼しています。
③(大学病院の場合)緊急でも診てくれない
さらに大学病院の場合は非常に専門的になるため、かかりつけで通院していても診療がスムーズでないことがあります。特に救急車を呼ぶような体調不良のときがそれにあたります。
基本的に大学病院は最初に述べたように三次救急病院としての役割があるため、かかりつけであってもショック状態などでないとなかなか診療までたどり着きません。現に大学かかりつけの患者さんが大学病院まで行ったが診療してもらえず、大学病院から救急要請をされ、初診の当院に搬送になったこともあります(さすがに冷たいなあと思いましたが)。
個人的には、大学病院は嫌いではないですが、自分がかかりつけにはなりたくないなあと思っています。
理想の診療像
理想というか、お願いでもあるのですが。
一番は、病院のかかりつけとクリニックのかかりつけを両方作るべきかと思っています。
普段の通院は〇〇クリニックで、半年に1回精査で市中病院を受診し、万が一緊急で体調悪くなったらその市中病院で診てもらう、ようなスタンスが定期通院での待ち時間や総合的な診療、そして必要時の専門的加療をかなえることができ、理想と考えています(行政の方針も概ねそのような感じと認識しています)。
逆に自分たちに必要なのは、市中病院とクリニックとの連携かと思います。
良い連携は上層部がやってくれていると信じていますが、自分も(結構大変ですが)、極力クリニックとの診療情報提供(いわゆる手紙のやり取り)はまめに行わないとと思っています。
医療になじみ薄い方にとっては少しわかりにくかったかもしれません。すみません。
大病院が必ずしもいいわけではないことが伝わればいいかと思って書きました。
今日も睨み合ってます。