循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

あなたの受診の本当の理由は?

こんにちは、うしです。

 

 

 

 

 

今回は目的という同じテーマで、今度は医療者と非医療者(今回は皆さまもないうる患者さん)と臨時受診(≒救急外来)というシチュエーションで1つお話したいと思いますので、よければ皆さま最後まで読んでいただけたら幸いです。

 

今後体調不良で受診するときに、少しは必ず役に立つと思います。

 

 

 

 

 

風邪のときも少し話しましたが、その風邪を例に

 

あなたが風邪を引いて病院に受診するのは、なぜですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

??? とか思わないでくださいね(笑)

 

「それゃ風邪ひいたから」と言う方は、

 

ではなぜ風邪を引いたら病院に受診するという思考になったのですか?

 

 

 

 

 

 

例えば以下のようなものが多いと思います。

 

・症状がつらいから薬で緩和してほしい

・本当に風邪なのか(重篤な病気でないか心配…例としてインフルでないか心配)

・近くを通ったから(深い理由はない)

・ 風邪=受診と思い込んでいる

・周囲に受診するように言われた

・風邪は抗菌薬などがないと治らないと思っている(抗菌薬希望できた)

 

下4つはやっかいです。3-5番目はこちらは何をしていいか(何が希望なのか)わからないし、一番したは抗菌薬が不要なことをまるでレクチャーするような受診になってしまいます。

 

ただし、これが悪いというわけではなく、

 

大切なのは

何を希望して受診したかをまず医療者が確認すること

(できれば患者側もそれをアピールしてくれると助かります)

ということです。

 

 

 

自分は、よくある病院の待合の問診表で、症状やいつからなど記載はあるのに、なぜきたのかの記載があまりないのが不思議です(うちの病院もありません。たいていは「どういったことを相談したいですか」と書いてあり、「なぜ相談今ここで相談したいか」といことは問診表に書かれません)。

 

そしてなぜ大切かというと、

 

医療者は風邪を診療する際の頭の中の9割は

風邪に見えて風邪でない重篤な疾患でないだろうか

と考えているからです。

 

ちなみにインフルエンザが心配ということに関しては若年者の場合は

医療者はインフルエンザ≒風邪程度にしか考えていません。

 

 

 

 

自分の経験では、肺疾患があって肺炎をよく繰り返す人や免疫抑制薬を内服していて肺炎のことを再三注意するように言われている人以外は

風邪で受診する際の理由が「肺炎(重篤な疾患)でないか心配」という人は少ないです。

 

とりあえず受診したか、薬がほしいか、どちらかが多く、またこの2つはあまり自分から理由を話してくれません(「薬がほしいんで」って言ったら薬局いけば?ってなりますしね(笑))

 

 

 

つまりこの時点で、

 

患者側はとりあえずきた or 薬がほしいと思っており

 

医療者側は、例えば肺炎でないか心配、という価値観の違いがおきています。

 

薬をもらいにきたのに肺炎が心配だからと勝手に医者が思い、レントゲンを撮るのに待たされたり、費用を請求されたら、間違ったことしてないのに下手したら怒りますよね。

 

 

 

 

 

 

総合診療科でかきかえという考えがあります。解釈モデルとして

 か:解釈…病気をどう思っているか

 き:期待…何をしてほしいのか

 か:感情…病気をどう感じているか

 え:影響…病気になってどう影響があるか

これの頭文字になります。

 

患者とよりそう診療で大事な考えですが、救急外来受診の際には、お互いのために大事な概念になると思います。

(特に時間外の外来についてはまた後日記載したいと思います)

 

まず、なぜなにをしてほしくてきたのかをイメージしてもらえたらと思います。

 

 

 

 

風邪に限らず、例えば腹痛なんてなればさらに難しくなります。

 

医療者は、治療をするために、かつ見逃したときのリスクを考え(ときには訴訟リスクも)、最も見逃してはいけない疾患を除外することから救急外来診療ははじまります。

 

あなたが便秘だと思い、便をだしてくれればいい、と思って受診しても、医者はそれが伝わらないだけで

 

「腸閉塞(腸がつまる病気)が心配だ。患者さんもきっと腸閉塞を心配しているのだろう。よしCT検査で外科医にも相談だ」

 

なんてすれ違いが本当によく起こります。

 

 

 

 

患者の症状を聞くことを問診といい、こちらもまた後日記載したいと思いますが、

 

とりあえず、問診の内容は抜きにして(医療者の仕事ですから)、

 

下手したら当たり前かもしれないけれど

(腹痛痛いから助けてほしいって言わなくてもわかるだろ!とか思わず)、

 

「お腹が痛いんだけど、便秘かと思って、自分としては便を出したらよくなると思ってきました」

 

と、間違っても全然かまわないので、自分の希望や考えを言ってくれたら助かります。

 

そして、体調が悪くてそんなこと考えられないときは、無理せず

 

「つらいから症状をまずとってほしい」

 

と言ってくれたらすぐに対応します。

 

何か心配なことがあって受診したのであれば、時間の中で叶えられないことは多くても、一言伝えてみてください。

 

 

 

自分は、診療がうまいほうではありませんが、あえて

 

「失礼な言い方で申し訳ないですが、今日受診された一番の理由は何ですか?つらくて症状をとってほしいのか、心配な病気でないか検査をしてほしいのか、薬だけもらえたらいいのか、どれに一番近いですか?」

 

と聞くようにしています。

 

 

 

いい診療のために、少しでも参考になれば幸いです。

 

 

これも首かいてもらうの待ってるのサインです(笑)

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