循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

血圧が当然200mmHgになったら?

こんにちは、うしです。

 

今回は、日常診療でも相談の多い、血圧の話しをしたいと思います。

 

ところで、正常な血圧はだいたい130-140mmHg以下で、家庭でも毎日測定することが推奨されてますが、

もし今なんの症状もないのに血圧がすごく高く、例えば200mmHgくらいあったら、どうしますか?

 

これ、実は医者の教科書にもあまり載っておらず、教科書にはだいたい以下のようなことが書いてあります。

 

 

 

「頭痛や意識障害などの神経症状や、臓器障害があり、高血圧緊急症と考える場合はただちに降圧療法をするべき」

 

と。

 

 

 

なんだか不安になりますよね(笑)

 

 

 

 

 

結論から書くと、

特に症状もなく血圧を測ったのであれば、その値が高かろうが基本的には差し支えないです。

 

そもそも高血圧は動脈硬化の原因と言われ、いずれは心筋梗塞や脳卒中、慢性腎不全になるおそれがあると言われます。

 

しかしこれは、長年の高血圧に血管がさらされ、徐々に動脈硬化が進むということであって、平均がとても大切です。

 

一時的に血圧が高いことは、動脈硬化という意味では差し支えないと思ってください。

 

 

 

 

「頭痛などの神経所見があればすぐ治療が必要なのでは」と気がついた方がいたら鋭いです。

 

際どいところもありますが、血圧が200mmHgもあると、なんとなく頭重感や胸の不快感があることも多いです。

 

ここでいう症状とは、血圧を測って、「あ、そういえば調子が悪いなあ」という症状ではなく、ひどい頭痛や意識障害になって、バイタル測定(血圧や脈、体温や酸素化のこと)を測定しているときに血圧が高いことがあとから知るような状態と考えてもらえばよいです。

 

つまり、血圧なんてどうでもよくなるくらい具合が悪い状態ということで、そうでなければ早期治療が必要な血圧高値な可能性はとても低いです。

 

ここで大事なことは、血圧が高いことを気にすると余計に血圧が上がり、測る度に血圧が上がって余計に不安になってだるくなってくるので、とりあえず血圧が高くなったときには深呼吸して、休息をとることが大切ということです。

 

 

拡張期血圧もだいたい同じです、こちらの方が臓器障害などおこりやすく、下の血圧が130mmHgもあるとすごく高く心配ですが、無症状の場合は先ほどと同じく、次回受診時に相談でいいかと思います。

 

 

 

 

 

ただし、症状があるか、緊急性があるかどうかは実際に見てみないとわからないため、体調が悪いと感じたら受診をお勧めします。

 

 

 

 

 

あとは、無症状の一過性の血圧高値は基本的に問題になりませんが、腹部や脳の動脈瘤があって、日頃から血圧の管理を注意されている場合は、その限りではありません。

一時的にでも血圧が高いと破裂し、重篤になる可能性があります。

 

普段から認知症や脳梗塞後遺症で疎通がとりにくい場合、

これは判断難しいです。実は新しい脳梗塞などをしていることもありますので(脳梗塞をすると血圧は上がる傾向がある)、かかりつけの医療機関にとりあえず相談されることが多いです。

 

 

 

ここまでのまとめとして、

たまたま血圧を測って思った以上に高いときは、特に症状なければ、まずは休息を取りましょう

ということになります。

 

 

 

 

ちなみに、

 

①血圧高値で救急受診した場合

 

上記の通り、神経障害がないか、重篤でないかを診察します。採血をとることもあります。

多くの場合は問題となることはないため、安心してもらい、希望があれば(または休んでも血圧が下がらない場合は)頓用の降圧薬を渡すことが多いです(せっかく病院にきたため)。

 

もしも神経障害や臓器障害などあった場合は、注射などて降圧し、入院してもらうことがあります。

 

 

②定期受診日に血圧高値を相談された場合

 

まずは血圧手帳をみて、どのくらいの波や変動があるのか、繰り返してるのかをチェックします。

 

まずは塩分などの生活習慣を確認します。

その後、血圧の推移を確認し、軽く頻度も少なければ様子見ることが多いですし、ベースの血圧も少し高めであれば降圧薬を調整することがあります。

 

若年であったりベースの血圧も高かったり、その他気がかりなことがあれば、ホルモンや腎臓の異常がないかを待機的に調べることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

血圧が高かったときのあらましについては以上になります。

 

 

 

 

 

ちなみに、

 

血圧が低かったときは?

 

 

 

 

 

これは、年齢などにもよります。

 

若い女性などはもともと血圧が低いことが多いので問題にならないと思います。

 

年齢がいっても、いつも低いのであれば問題にはならないと思います。

 

しかし、

いつもより明らかにいつもより血圧が低い場合は、これは記事として安全であるとは言えません。

 

無症状でも胃潰瘍などから出血していたり、心臓のイベントがあったり、寝ているだけかと思ったら敗血症(重症感染症)だったりすることもあるので、

 

元気であればとりあえず様子見れることが多いですが、血圧が高いときほど楽観視しない方がよいです。

 

 

 

 

 

 

だいたい以上です。

 

また追加した方がいいことがあれば適宜追加してきます。

 

もちろん人の体にはいくらでも例外がありますので、とりあえず参考にしていただけたら幸いで、

 

血圧が上がって不安になったときは一瞥してもらえたらいいかと思って書きました。

 

 

 

 

質問などあればコメントに書いていただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

今日のインコは穏やかです、血圧も低そうですね。

f:id:ushi-sensei:20200810184511j:image