循環器内科うし先生のほのぼのブログ

北海道の中規模病院で勤務する循環器内科医のうし先生です。

コロナが2類感染症でなくなったら医療者はどう思うか

こんにちは、うしです。

 

先日ニュースでもやっと話題になっていました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2類感染症ではなくなるかも、と。

 

1つニュースのURLを貼っておきます。

 

http://agora-web.jp/archives/2047867.html

 

 ちなみに指定感染症とは、蔓延すると非常にまずいため国が指定した感染症(分類)です。ネットで検索したら具体的に何の感染症が何類か書いています。

簡単に言うと、エボラ出血熱は1類感染症(一番やばい)で、2類感染症はコロナの他に結核やSARSなどで、普通のインフルエンザや梅毒などのほとんどの感染症は5類感染症に入ります。

 

ニュースでも、2類でなければ5類が妥当でしょうか?と言っていました。

以前書いたブログで、インフルエンザもコロナも一緒に見るときがくるでしょうと書いた通り、自分も今後は5類相当で診療するんでないかなとは思っています。

 

以下のメリット、デメリットはあくまでテレビで言っていた内容になります。

 

 

 

 

 

2→5類感染症になったときのメリット

 

PCR検査やコロナ診療(合併なども)が保健所にいちいち連絡しなくてもより簡単にできるようになると思います。

現在は少しでも発熱患者などでコロナを想定したときはいちいち保健所に電話して疑似症例として発生報告書というものをただちに書かなければならなかったですが、それは不要になり、よりフレキシブルな診療ができると思われます。

保健所や行政の負担も非常に減ると思われます。

 

 

 

 

 

2→5類感染症になったときのデメリット

 

 病院-保健所でのやり取りの手間がなくなった分、感染経路の特定は難しくなると思われます。こちらは風疹や麻疹などは5類感染症でも追跡評価できるため、少し調整の余地はありそうです。

一方で通常のインフルエンザ程度の扱いになるため入院への強制力はほぼなくなり医療費なども自己負担になることが予想されます。

 

 

 

 

 

病院はどう変わるだろうか

 

ここからが本題です。実際に明日から「5類感染症になりました!」と言われたら自分たちはどう考えたら、どう診療したらいいのでしょうか?

まずは2つの側面から考えてみます。

 

診療の仕方

こちらは病院判断で今よりもスムーズに検査にまで行けると思います。ただし感染力が変わっているわけではないので、フル装備での検査になることは変わりないです。

発熱や倦怠感、感冒(風邪)症状を伴って入院となる患者さんはほぼ全員入院時に検査をするような風潮になるのではないかと思っています。

 

感染対策

感染力は変わっていなく、仮に軽い感染症でも医療者への感染対策が一番に重視されます(院内発生が問題以上に、スタッフが体調不良で病欠すると診療にならなくなるため)。

そのため、仮に何類になろうが、ワクチンor既感染で集団免疫を持たない限り、感染対策が緩くなることはないと思われます。

 

すると結局どうなるか。

検査は気軽にできても、検査結果が出るまで疾患感染対策をしないと、万が一陽性の場合、「濃厚接触者多数!」となってしまいます。

感染のリスク評価をするためにも、行政の力を借りた接触歴評価が必要です。

 

インフルエンザとの違いは、最近の弱毒化?した状況だと、感染力が高く、高齢者だと肺炎になりやすい、というところかと思います。

 

このまま5類感染症にして、インフルエンザと同等に扱うと、全国民とは言わなくても多くの人が生涯一度は感染するのでないかと思っています。

(8割おじさんが全く対策をしないと数十万人が感染すると言ったのと同じですね)

 

ただし1つ前提として、感染=害ではないということです。

例えばヘルペスなどは、感染しない方がいいですが、一度感染すると潜伏する、非常に嫌な印象をもっていますが、口唇ヘルペスを難病と思っている人は少ないです。

ピロリ菌感染などは胃がんや胃炎のリスクになりますが、そこまでリスクも高くないためきっかけがないと検査治療(除菌)に移行していません。

 

このままコロナの病原性が低下?し、ピロリ菌程度のほぼ無症状となるのであれば、むしろ感染対策は不要とも言えます。

 

 

 

 

 

 

今後の展開について

 

今は総理大臣も代わるようなので、行政的な展開は全く読めないです。

 

コロナの病原性も低下したのかは不明ですし、また今後病原性が強くなることも弱くなることもどちらもありえます。

 

ただ1つ言えるのは、現時点での病原性(致死力)にしては過度な報道のせいでやや怖がりすぎだとは思います。

感染はしなくないですが、今は感染よりも感染したときの周囲への影響や風評被害の方が怖いです。

 

自分としては、そのうちインフルエンザの中に溶け込むと思っているため

(インフルエンザすら日本はやや怖がりすぎな気がしますが)

今後はもう少しラフに考えてくるのではないかと思っています。

 

例えば、ノロウイルスの胃腸炎みたいな立ち位置になるかもしれません

こちらも非常に感染力が強くアウトブレイクしたら大変ですが、若年者では重篤になることは非常に少ないです。

 

いずれにしても、そのときのウイルスの正体にあった怖がり方が重要だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ前回とは違う写真です(笑)

 

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